発 明 入 門 講 座
〔2週間で知的財産権の基礎知識が身に付く〕
講 師 : 中 本 繁 実    テキスト : はじめて学ぶ知的所有権(工学図書刊)


7日目
「ゲームの遊び方(ルール)は特許?」

 ゲームの遊び方とか、歌の曲とか、絵などは、産業財産権(工業所有権)の対象ではありません。
 ゲームの遊び方は、著作権の対象です。
 表現された思想感情は、たいてい著作権があります。
 だから、ゲームものなどの作品を考えたとき、その遊び方そのものは特許になりません。
 特許は、その遊び方を実現させるためのゲーム具、すなわち、新しい物品の形状や構造(しくみ)が対象になります。
 ゲーム具はどちらかというと遊び方がポイントです。
 したがって、商品を販売するときは、必ず遊び方を説明した説明書が付いています。
 その遊び方を書いた印刷物が、著作権です。
 小説も学術文も美術品も音楽も落語もみんな著作権です。
 つぎに、特許要件(権利が取れるための条件)について、説明しましょう。
出願をしても、すべての作品に特許が与えられるというわけでありません。
 発明者自身は、自分が考え出したものは素晴らしい作品である、と信じていても、また、かりに自分で先行技術(先願)調査をしたうえで、自分の作品は絶対に新しいものだと考えたとしても、その作品が、はたして特許の権利が取れるかどうかはわかりません。

 発明が、特許法上、特許の権利が取れるかどうか判断基準を特許要件といっています。
 @ 産業上できる発明であること。
 A 新規性のある発明であること。
 B 進歩性のある発明であること。
 C 先願の発明であること。
 D 先願の明細書に書いていない内容および図面に描かれていない発明であること。
 E 出願書類が完備していること。
 F 不特許事由に該当しない発明であること。
 などを、チェックしてから、権利が与えられます。


1日目  「産業財産権(工業所有権)とは何か」
2日目  「“発明”とは何か」
3日目  「先発明主義・先願主義・先使用権」
4日目  「同じ日に同じ内容の作品が出願されたら」
5日目  「産業財産権(工業所有権)と著作権との違いは」
6日目  「産業財産権(工業所有権)の保護の対象は」
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8日目  「新規性・進歩性の意味は」
9日目  「先願(先行技術)調査が必要か」
10日目  「会社で考えた作品(職務発明)は」
11日目  「権利がおよぶのはどこまでか」
12日目  「実施権にはどんな種類があるのか」
13日目  「特許を出願をするときに、試作品も添付するのか」
14日目  「出願審査請求書は、いつ提出するのか」