発 明 入 門 講 座
〔2週間で知的財産権の基礎知識が身に付く〕
講 師 : 中 本 繁 実    テキスト : はじめて学ぶ知的所有権(工学図書刊)


4日目
「同じ日に同じ内容の作品が出願されたら」

 同じ日に、同じ内容の特許を出願した人が2人以上いたらどうなるのでしょうか?
 そのときは、同じ日に出願した人が協議して1人だけにすることになっています。
それで、もし、協議がうまくまとまらなかったときは、権利は誰にも与えないことになっています。
 そこで、普通は、いろいろな契約書を作って1人に決めることが多いようです。
 商標のときは“くじ”により決めることになっています(商標法第8条)。
 しかし、これもあたらなかったら大変です。だから、その前にいろいろと両者の間で契約が取りかわわされるそうです。
 ここで、「先願」について、もう少し説明を加えておきましょう。
 特許法では、同一の発明が、まったく関係なしに、複数の人が考えていたとき、誰に特許の権利を与えるかについて、つぎのように決めています。
 @ 同一の発明について、異なった日に2以上の特許の出願があったときは、1番先に特許の出願をした人に特許の権利を与えます。
 A 同一の発明について、同じ日に2以上の特許の出願があったときは、特許出願人の協議により決めた1人の特許出願人のみが、その発明について、特許の権利を与えてもらいます。
 B 協議が成立せず、または協議をすることができないときは、誰にも、その発明について特許の権利は与えないことになっています。
 したがって、特許出願書類を、1日でも早く作成して特許庁長官へ届け出をすることが要求されるわけです。
 だから、といって、未完成の作品を急いで出願してはいけませんよ。


1日目  「産業財産権(工業所有権)とは何か」
2日目  「“発明”とは何か」
3日目  「先発明主義・先願主義・先使用権」
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5日目  「産業財産権(工業所有権)と著作権との違いは」
6日目  「産業財産権(工業所有権)の保護の対象は」
7日目  「ゲームの遊び方(ルール)は特許?」
8日目  「新規性・進歩性の意味は」
9日目  「先願(先行技術)調査が必要か」
10日目  「会社で考えた作品(職務発明)は」
11日目  「権利がおよぶのはどこまでか」
12日目  「実施権にはどんな種類があるのか」
13日目  「特許を出願をするときに、試作品も添付するのか」
14日目  「出願審査請求書は、いつ提出するのか」