発 明 入 門 講 座
〔2週間で知的財産権の基礎知識が身に付く〕
講 師 : 中 本 繁 実    テキスト : はじめて学ぶ知的所有権(工学図書刊)


5日目
「産業財産権(工業所有権)と著作権との違いは」

 知的財産権〔無体財産権〕

  (1) 産業財産権
  ・工業的なものを保護してくれます。
   ※手続きが必要です。
 @ 特許
権利期間:出願の日から20年です。
  ・物の発明、方法の発明
 A 実用新案
権利期間:出願の日から6年です。
  ・物品の形状、構造、組み合わせの考案
 B 意匠
権利期間:設定の登録の日から15年です。
・物品の形状、模様、色彩のデザイン
 C 商標
権利期間:設定の登録の日から10年です(更新可)。
  ・商品「ネーミング」、役務「サービスマーク」

(2) 著作権(copyright)
権利期間:本人の死後50年です。
  ・思想感情の表現を保護します。
   文芸、学術、美術、音楽など、文化的なものを守る法律です。

   産業財産権は登録主義です。
 著作権は無登録主義です。
 著作権は、産業財産権と同じ無体財産権です。
 著作権は、一般には出願とか、審査とか、登録の手続きをしません。
 印刷して公表されたときに、著作権は自然に発生するからです。
 そのため、小説家や漫画家には財をなす人が多いと一般的にいわれています。
 技術家には一部をのぞいてお金持ちが少ないようです。
 小説家や漫画家の人の作品は、それが公表されたとたんに、いい、悪いにかかわらず、著作権が発生するからです。
 しかも、著作権の権利は、本人の死後50年間も存続します。
 だから、いつ、どこで、それが世に出ようとも、みんな、その権利料が入ってきます。
 ところが、技術系の人は、日々の仕事の中で大小発明を無数にしているのに、それを出願し、審査を受ける手続きを知らないのです。知っていても、新しい作品の開発に忙しいので出願をしないことが多いようです。
 また、1件出願するのに、出願をプロに依頼すると、出願するときの手数料が30万円も50万円もかかることも、出願をしない一因かも知れません。ところが、ほとんどは権利になっていないようです。
 それで、近い将来、作品が商品化になったとしてもロイヤリティ(特許の実施料)はもらえません。


1日目  「産業財産権(工業所有権)とは何か」
2日目  「“発明”とは何か」
3日目  「先発明主義・先願主義・先使用権」
4日目  「同じ日に同じ内容の作品が出願されたら」
  ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓
6日目  「産業財産権(工業所有権)の保護の対象は」
7日目  「ゲームの遊び方(ルール)は特許?」
8日目  「新規性・進歩性の意味は」
9日目  「先願(先行技術)調査が必要か」
10日目  「会社で考えた作品(職務発明)は」
11日目  「権利がおよぶのはどこまでか」
12日目  「実施権にはどんな種類があるのか」
13日目  「特許を出願をするときに、試作品も添付するのか」
14日目  「出願審査請求書は、いつ提出するのか」