連載 9
元気がいちばん・中本流発明道場
発明配達人 中本 繁実


↓ アイデアやデザインは、すぐに特許や意匠に出願すべきか ↓

 アイデアやデザインを創作したら、すぐに特許や意匠に出願するのですか?
 日本は、先願(せんがん)主義です。だから、1日も早く特許庁に出願することが原則です。
 ところが、これは、むずかしい質問であり、問題です。
 誰でも同じように悩みます。とくに、初歩の発明家は、たくさんのアイデアのヒントを抱えています。
 出願しなければ、マネされます。それでは、売り込みもできません。
 しかし、自分で出願するのは、むずかしいと聞いています。
 それで、プロに出願を依頼します。
 その費用を聞いてみると、手数料が約30万円〜50万円はかかるといわれました。
 ここで、どうしようか? と、第一の関門にぶつかってしまいます。なぜ、そうなってしまうのでしょうか。
 それは、自分のアイデアと、同じ内容のものがあるかどうか、それが権利になるかどうか、の判断ができないからです。交通整理ができないのです。
 だから、誰でも、自分のアイデアは、立派なものだ! と思い込んでしまうのです。
 先願主義だからといって、すぐ出願したくなるのです。
 それも、また、人情です。その気持ちは良くわかります。
 ところが、アイデアの勉強をスタートしたばかりのころ、思いついたアイデアは、残念なことに、先に出願されているケースが圧倒的に多いのです。
 そのことを良く知らないからです。
 そのことを知らずに、大切な時間やお金を使っては、もったいない話です。
 そこで、これは、すごい(?)と思った、アイデアが生まれたら、まず発明団体の相談所(無料)で見てもらうとか、近くの発明学校に参加して、相談することです。
 それから、特許や意匠などの知的財産権に結びつけることを考えてください。
 多くの、中・小企業の場合でもそうです。1年中、カイゼンや工夫を社員にさせています。
 ところが、いい考えを特許や意匠などの知的財産権に結びつけることを知らないのです。
 それでは、会社にも、社員にもプラスになりません。
 だから、イヤイヤやっているのです。
 そういうやり方では、とうぜんのことですがいい結果はでません。
 この機会にマイナスドライバーを使うのをやめてプラスドライバーだけにしますか?
 あるいは、こんなものは、出願してもムダですよ、といって、簡単にアイデアを捨ててしまっているケースが多いようです。
 これでは、せっかくアイデアを考えても、会社も社員も、えるところが少なくて、もったいない話です。
その結果、社員も元気がなくなってしまいます。
 そこで、中・小企業では、思いつきを権利に結びつける能力を、社長自身が修得するか、そうした能力をもったパテント・リエゾンマン「特許管理者」を、少なくても4名〜5名は養成することです。
 それで、どんなものが特許になるのか、意匠になるのか、著作権になるのか、能力を身につけてください。
 また、出願書類を書けるようになってください。
 そうすると、これは、と思ったアイデアやデザインを知的財産権にすることができるようになります。
 それが1番お金のかからない方法です。
 世はまさに知的財産権の時代です。
 だから、知的財産権の数の少ない会社は、何もできずに倒産していくのです。
私(中本)は、3人(女の子)のお父さん(とうさん)? です。
逆に偉大な知的財産権をもてば、大きな会社と対等になれるのです。

★ 参考文献として、拙著「発明のすすめ(勉誠出版)」、「発明に恋して一攫千金(はまの出版)」、「はじめて学ぶ知的所有権(工学図書)」をご紹介しておきます。


連載 1  不景気(?)なんてグチッテはダメ、元気な発明家をめざそう
連載 2  成功アイデアの秘訣は、人のため世のために考えること
連載 3  まず、アイデアの目標を立てよう
連載 4  発明学校に参加しよう
連載 5  テーマの選び方が「及第発明」か「落第発明」のわかれ道
連載 6  あなたのアイデアは、私「知的財産権」が守る
連載 7  特許は発明を、意匠はデザインを保護する
連載 8  メモと落書きがアイデア成功の早道
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連載 10  初心者は、とにかく、出願を急いではダメ
連載 11  目標“商品化”を実現するために、何をすればいいのか
連載 12  そして、一気に売り込んでみよう