連載 5
元気がいちばん・中本流発明道場
発明配達人 中本 繁実


↓ テーマの選び方が「及第発明」か「落第発明」のわかれ道 ↓

 成功アイデアは、発明のテーマ(題目)の選び方で決まります。
だから“これは”というテーマが見つかったら「すでに目標の半分は達成しています、と思っても間違いないでしょう」と一般的にいわれています。
 したがって、発明のテーマの決め方によって、成功・不成功が分かれるということです。
ところが、最初の頃はいろんなものに興味をもちます。
たとえば、食事をするときマヨネーズやケチャップを使うことがあります。
 そのとき、いつも一定の量が出せると便利なのにと思います。
 あるときは、このように便利な「容器のアイデア」を真剣に考えていたかと思うと、つぎの日は「ハンガーや灰皿の工夫」にチャレンジしてみたりして、見るもの聞くものすべてに興味をもって、テーマにしてしまおうとします。
 それも、最初は、工夫する習慣をつけるために必要なことです。だから、まあー、いいでしょう。
 しかし、いつまでもそれを続けていたのでは、深みのある成功アイデアは生まれてきません。
 その程度の工夫なら、おそらく大先輩が考えていただろうし、Aの方法、Bのやり方でも、問題点を解決できる、といった程度で終わってしまいます。
 やはり、得意な技術分野の中から、発明のテーマを探すことです。では、どこに的をあてたらいいのでしょうか?
   第一に、自分の知識と経験の中から選ぶことです。
 第二に自分で試作・テスト(実験)できるものを選ぶことです。
 第三に、多くの消費者が望む身近なものを選ぶことです。
 この条件の意味をよーく理解してください。そうしないと、お金や時間をムダにします。その結果、長続きしないし、最後は、泡のように消えてしまいます。
 たとえば、パソコン(IT)のハード(機能)やソフト(プログラム)も知らない人が、パソコンの大発明に頭をつっこんでしまったばっかりに問題点の解決方法がいつまでたっても見つけられなくて、どうにもならなってしまうこともあります。
 そこで、自分の職場からあるいは、身近なところから発明のテーマを選ぶことです。それが、1番効率のいいやり方です。
 それは、テーマに対して専門的な知識をもち、十分な経験があるからです。自信もあります。したがって問題の分析も問題の解決方法も簡単に見つけられるし、試作品を作って、テストをすることも可能です。
 または、職場とはいえないかも知れませんが「家庭用品のアイデア」で成功した人は、圧倒的に女性が多いのです。
 それは、長い経験の中から、不便や困ったことを見つけて、それを解決しているからです。
ところが、職場以外でも自分に経験のないところにも、テーマはいっぱいころがっています。その中から、素晴らしいヒントが見つかることもあります。
 そういうときは、その分野の資料をたくさん集めて、知識を吸収し、専門家になることです。
そうすると、多くの人が不満に思っていることもわかります。一方では、自分の力を知ることもできます。そうすれば、自然に自分の力に応じたテーマを選ぶことができるのです。力のおよばないものは、自分の力、知識を高めてから、再チャレンジすることです。

 ● 目標をはっきり決めよう
「お金を儲けたい」という人はたくさんいます。
 しかし、その人達に「あなたはいったいいくらお金を儲けたいと思っていますか?」と逆に質問をしてみます。すると、それに答えられる人はきわめて少ないです。
「100万円儲けたいのですか」それとも「いま、すぐ20万円いるのですか?」あるいは「50万円ほしいのですか?」……、その目標が、はっきりしていてはじめて、それに適した計画がたち実行できるのです。
 ただ、ぼんやりと「お金を儲けたいと思っています」では決してお金は儲かるものではありません。
 だから、たとえば、彼女(彼)がいると、休日はデートができて楽しいだろうなー、と思うだけでは、ダメだということです。さあー、行動しましょう。
 アイデアで成功するのも同じです。
「私は、○○のアイデアを考えています。そして、○○○会社に売り込みます」という具体的な「私の目標」を作ってください。  多くの発明家の方が面接相談などで私を訪ねてきてくれます。
 ところが、成功していない人はみんな、しっかりした目標をもっていないのです。いつも「何かいい発明をして儲けようと思っています」と、だけいいます。
 つまり、具体的な目標が、まだ見つかっていないのです。早く見つけましょうよ。そして、スタートしましょう。その結果、楽しい夢のあるゴールが見えてくるのです。

★ 参考文献として、拙著「発明のすすめ(勉誠出版)」、「発明に恋して一攫千金(はまの出版)」、「はじめて学ぶ知的所有権(工学図書)」をご紹介しておきます。


連載 1  不景気(?)なんてグチッテはダメ、元気な発明家をめざそう
連載 2  成功アイデアの秘訣は、人のため世のために考えること
連載 3  まず、アイデアの目標を立てよう
連載 4  発明学校に参加しよう
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連載 6  あなたのアイデアは、私「知的財産権」が守る
連載 7  特許は発明を、意匠はデザインを保護する
連載 8  メモと落書きがアイデア成功の早道
連載 9  アイデアやデザインは、すぐに特許や意匠に出願すべきか
連載 10  初心者は、とにかく、出願を急いではダメ
連載 11  目標“商品化”を実現するために、何をすればいいのか
連載 12  そして、一気に売り込んでみよう