連載 6
元気がいちばん・中本流発明道場
発明配達人 中本 繁実


↓ あなたのアイデアは、私「知的財産権」が守る ↓

 とにかく、すごい(?)アイデアを考えました。
 さて、このアイデアが、
「特許という知的財産権」になりますか?
「意匠という知的財産権」になりますか?
「著作権という知的財産権」になりますか?
 初心者には、そのところがさっぱりわからないでしょう。
 判断もできないでしょう。
 それがわかるように、これから権利の種類と内容を説明します。
 発明品というと一般的にアイデアとか発明とか特許とかパテントといわれています。
 そのことを正式には産業財産権(工業所有権)といいます。
 では、産業財産権とは、一体何者なんでしょうか?
 ここで、簡単に説明しましょう。
  @ アイデアとかデザインなどを保護してくれます。
  A 産業財産権とは、特許・実用新案・意匠・商標の総称です。
 そして、それぞれ法律はつぎのようなことを決めています。
  @ アイデアやデザインのこの部分を保護しましょう。
  A このような手続きをしてください。
  B 権利の内容は、特許や意匠、商標によって違います。
 以上のような内容です。これは、たとえば、会社や学校の規則みたいなものです。

 (1)「特許(発明)という知的財産権」
 それでは、最初に「特許(発明)という知的財産権」について説明しましょう。
 特許(発明)の対象になるのは「物の発明」と「方法の発明」です。
 台所用品や事務用品のような生活用品、新しい素材、新しい飲食物などです。
 権利が取れるための条件は、新規性(新しい)と進歩性(困難さ)などがあります。
 権利期間は、出願の日から20年です。

 (2)「実用新案(考案)という知的財産権」
「実用新案(考案)という知的財産権」は、物品の形状、構造または組み合わせに関するものに限られています。
 機械、器具、日用雑貨品のように一定の形があるものが対象になります。
 したがって、物品でない製造方法は含まれません。
 権利期間は、出願の日から6年です。

 (3)「意匠(デザイン)という知的財産権」
「意匠(デザイン)という知的財産権」は、物品の形状、模様、色彩、物品の外観で美感のあるものが対象になります。
権利が取れるためには、条件は新規性や創作性などがあります。
 権利期間は、設定登録の日から15年です。

 (4)「商標(ネーミング・サービスマーク)という知的財産権」
「商標(ネーミング・サービスマーク)という知的財産権」は、商品や役務(サービス)に使用するマークで、文字、図形、記号、立体的形状など、他の人(第三者)の商品や役務と区別することができる顕著性を備えているものが対象になります。
 これは、特許・実用新案・意匠と異なり、有用なものを考えた、というのでなく、商品や役務を区別する目印になるマークを登録します。だから、新規性がなくてもOKです。
 権利期間は、設定登録の日から10年です。
 特許や意匠と違って、商標だけは、更新ができます。

 (5)「著作権という知的財産権」
 著作権は、文芸・学術・美術・音楽などが対象です。
 著作権は、文化的なものを守る法律で、思想感情の表現を保護する制度です。
 著作権は、一般的には出願・審査・登録……、という手続きは不要です。創作したときに権利は自然に発生します。
 たとえば、ゲームのルール(遊び方の説明書などの小冊子の印刷物)とか、歌の曲とか、絵などは「著作権という知的財産権」です。
 ゲームものなどの創作をしたとき、特許権の対象になるのは「ゲームの構造」です。
 小説も学術文も美術品も音楽も落語もみんな著作権です。
 著作権の権利期間は、本人の死後50年です。

★ 参考文献として、拙著「発明のすすめ(勉誠出版)」、「発明に恋して一攫千金(はまの出版)」、「はじめて学ぶ知的所有権(工学図書)」をご紹介しておきます。


連載 1  不景気(?)なんてグチッテはダメ、元気な発明家をめざそう
連載 2  成功アイデアの秘訣は、人のため世のために考えること
連載 3  まず、アイデアの目標を立てよう
連載 4  発明学校に参加しよう
連載 5  テーマの選び方が「及第発明」か「落第発明」のわかれ道
  ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓
連載 7  特許は発明を、意匠はデザインを保護する
連載 8  メモと落書きがアイデア成功の早道
連載 9  アイデアやデザインは、すぐに特許や意匠に出願すべきか
連載 10  初心者は、とにかく、出願を急いではダメ
連載 11  目標“商品化”を実現するために、何をすればいいのか
連載 12  そして、一気に売り込んでみよう