連載 11
元気がいちばん・中本流発明道場
発明配達人 中本 繁実


↓ 目標“商品化”を実現するために、何をすればいいのか ↓

 (1) 市場調査をする
 自分でいいと思ったアイデアでも、すでに、どこかで、商品化されていれば、その価値はないに等しいのです。
 ムダな試作・テスト(実験)に時間を費やすまえに、消費者が本当に買いたい商品か?
 十分に市場調査をすることが大切です。
 とはいっても、特許などの先願調査(先行技術調査)をするのは、大変な作業です。
 そういう中で、1番簡単な方法は、専門店など)、いろいろな店へ行って、その分野の商品を把握することです。
 売り場を探訪するうちに、新たなアイデアが浮かぶことだってあります。
 何よりも自分が考えようとする商品の市場を理解しておかなければ、的外れの売り込みになってしまうこともあります。
 したがって、市販品の欠点や弱点について、研究することも必要でしょう。

 (2) 試作品を作る
 思いつきやアイデアだけでは、会社は飛びつきません。
 試作品を作って、じっさいの形にして示すことも重要です。
 また、試作していくうちに問題点や工夫すべきところもハッキリしてきます。
 改良をしていけば製品も洗練され、アイデアのポイントも明確になります。

 (3) 売り込み先を探す
 試作品を作ることと同時に並行して行わなければならないのは売り込み先をみつけることです。
 優れたアイデアであっても、売り込み先を間違えば、デビュー(商品化)の機会をのがしてしまいます。
 したがって、売り場で自分の発明品と同じようなものを作っているメーカーを調べることも大切です。
 だから、日頃、業界紙などにも目をとおしておくことも発明家の大切な仕事なのです。そのときに、同分野で新製品を多く出しているところや発明家からのアイデアを歓迎する会社をチェックしておきましょう。

 (4) プレゼンをする
 売り込みは、手紙で行うのがベストです。
 直接、試作品を持参し、訪問しても、あってもらえないケースが多いからです。
 郵送の際には、封筒の表に「社外アイデア提案用紙」在中と明記してください。
 宛て名は、手書きで書くのがいいでしょう。
 ただし、丁寧な字で、楷書で書くように、心掛けてください。
 会社からの連絡は、1カ月〜2カ月かかるのが普通です。
 中には、3カ月後のこともあります。
 面談をするときは、短時間(5分〜6分)で、そのアイデアの特徴と問題の解決点などを簡潔に述べてください。
 カラオケは、歌っている本人は“上手だ”と思って歌っています。
 だけど、他の人(第三者)は、誰も聞いてくれていないことが多いのです。
 最後に拍手はしてくれますけど……。
 興味がなければ、耳を傾けてくれないのです。

 (5) いよいよ商品化
 売り込んで、いい感触がえられても、すぐに商品化されることはあまりません。
 会社内では、その商品の価値や価格、販売戦略、流通ルート、製造技術、コスト、パッケージや商品のデザインなど、あらゆる観点から商品化の検討がなされます。
 商品化の方向へと進展したときは、さらに、デザイナーがデザインを変更するケースが多いようです。

★ 参考文献として、拙著「発明のすすめ(勉誠出版)」、「発明に恋して一攫千金(はまの出版)」、「はじめて学ぶ知的所有権(工学図書)」をご紹介しておきます。


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