連載 2
元気がいちばん・中本流発明道場
発明配達人 中本 繁実


↓ 成功アイデアの秘訣は、人のため世のために考えること ↓

 もともと、アイデアが世の中に出るためには、その創作物が人のため、世の中のためになる要素を備えていることが必要な条件になります。
 世の中の利益につながるアイデアであることが大切だ、ということです。
 それは発想の根本を他の人(第三者)を中心におかないと、本物のアイデアはなかなか生まれてこないのです。
 成功事例には、多くの教訓が隠されています。あとから評すれば何か簡単に成功したようにみえますが、もちろん、そんなことはありません。失敗を重ねた悪戦苦闘の結果なのです。
 そこで、読者のみなさんには、ぜひつぎのことを念頭において、成功アイデアをめざしてほしいのです。
@ 1つ目は「むずかしい発明のテーマは避けよ」ということ
 たとえば、電車のスピードをアップするために超伝導(リニアモータ)の技術を活用するとか、バイオテクノロジーの技術を応用して、食べものの味を良くしようといったことを考えても、その分野の知識がなければ、いつまでたっても課題(問題点)を解決するための解答が見つからないのです。
 それでは、未完成状態のままで終わってしまいます。
 学生時代でいうと、嫌いな科目にチャレンジしているのです。チャレンジすることは悪くはありませんよ。でも、ある程度の形ができるまでには、時間がかかります。
 その課題(問題点)を解決する方法を説明できる人やその分野の技術を良く知っている人は別ですよ。
 最近は冷凍食品が多く解凍(解答)する機会も多いと思いますが、その解凍とは、ちょっと違いますねー。
だから、1番いいのは、職場や家庭などで直面する身近な問題をどうやって解決したらいいか、と考えることです。
 それから、自分の得意な分野を発明のテーマに選ぶことです。好きなことなら、情報も感単に集まります。
 そうしないと、カッコ良くいうと、開発費にお金がかかりすぎて結果も出ません。それでは、いつまでたっても、商品化にならないのです。そうすると、創作活動さえイヤになってしまいます。
A 2つ目は「頭と手と足を使ってもお金は使うな」ということ
 それは、創作活動の中で頭と手と足を使ってもいいが、ぜったい、ムリ、ムダなお金を使わないようにしてほしいことです。
「お金を使ったから」といって、決していいアイデアが生まれるとは、限らないのです。 また、商品化に成功します、という保証もないのです。商品化の「パスポート」だって誰も発行してくれません。
 たとえば、フルマラソン(42.195q)にたとえてみましょう。スタートして、すぐにダッシュして、最初だけ、人より前に出ることは、ちょっとだけ“カッコいい”と思います。
 でも、その方法ではいつまでたってもゴール「商品化」までたどりつけません。途中で、疲れてしまうからです。お金も余裕がなくなるからです。
B 3つ目は「アイデアの量(数)をたくさん出す」ということ
 いいアイデアが出る確率は、量に比例するといわれています。
 また、課題(問題点)を解決する方法も1つだけではないということです。
 学校のときの成績は優(A評価)より良(量)が多かったでしょう!?……。
 そんなことはないですよと叱られそうですね。
 でも、アイデアは量が多い方がいいのです。
 とにかく、アイデアの量をたくさん出すことです。
C 4つ目は「アイデアは愛である」という発想をすること
アイデアの発想の基本はやはり、“やさしさ”です。
 たとえば、子どもをいかに“可愛く”してあげるか、といったやさしい視点をもつ方がいいものができる可能性が高いということです。
D 5つ目は「メモを取る習慣をつけよ」ということ
 発明、創作の第1歩は、不便なこと、困ったことを解決するということです。
したがって、多くの人は、その解決方法を考えます。たとえば、電車の中で思いついたとしても少し時間がたつと忘れています。そこで、思いつきのヒント、腹がたったことなどを必ずメモを取るようにしましょう。

★ 参考文献として、拙著「発明のすすめ(勉誠出版)」、「発明に恋して一攫千金(はまの出版)」、「はじめて学ぶ知的所有権(工学図書)」をご紹介しておきます。


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連載 5  テーマの選び方が「及第発明」か「落第発明」のわかれ道
連載 6  あなたのアイデアは、私「知的財産権」が守る
連載 7  特許は発明を、意匠はデザインを保護する
連載 8  メモと落書きがアイデア成功の早道
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連載 12  そして、一気に売り込んでみよう