知的財産権入門講座
講 師 : 中 本 繁 実    テキスト : はじめて学ぶ知的所有権(工学図書刊)


連載 9
発明学校に参加しよう

 新しい作品を考えるのは楽しいです。
ところが、発明家は誰でも自分が考えたものは1番で、最高だ! と思い込むものです。
それは、それでいいと思いますが、良く考えると「ウッ(?)」と、疑問符が付いてしまうことが多いのです。その結果、秘密主義になり、人に隠れてお金を注ぎ込んで製品(製品=商品では、ありません。意味が違います)を作ってしまいます。「製品=商品」では、ありません。意味が違います。
また、出願のために多額のお金を費やしたりしています。
 それで、後悔しないことです。そうしたことがないように、近くの発明学校に行くことをおすすめします。そこで、同好の人に相談し、語り合うことです。
 現在、全国50数カ所で、毎月1回日曜日に集まって発明学校(研究会)が開校されています。たとえば、東京都が後援している発明学校(11時〜16時30分)は、毎月第3日曜日に開校されています。
そこには、老若男女のアマチュアの発明家が集まって、自分の作品を楽しく発表しています。
 それを、先輩の発明家が無料で、出願の指導をしてくれます。さらに、改良して権利の取り方や売り込みなどの相談にも親切に応じてくれています。
どこでも、入場費が、1,000円(当日会費)くらいです。一般来場大歓迎です。友人と一緒に参加してください。
 50名〜100名くらい集まって、にぎやかに楽しんでいます。メンバーも大歓迎してくれますので、居心地がいいと誰でもいっています。
近くの発明学校に顔を出して話しを聞くだけでも、作品のレベルがみちがえるほど向上するハズです。
 そして、いい作品(?)ができたら、発表してみることです。発明学校には、いい作品に対して、スポンサーになろうという企業の経営者や企画、開発担当者もきていますので、商品化の実現の道も開けています。そこで、発表した作品の商品化が実現するケースもあります。
“洗濯機の糸くず取り具”で商品化が実現した笹沼さんだって、手紙で何10社にも売り込んだが、どこも相手にしてもらえなかったのです。それで、東京の発明学校で発表すると、そこに来ていた(株)ダイヤコーポレーションの開発部の担当者に気に入られ、商品化が実現したのです。ぜひ、近くの発明学校に参加して、自分の作品を発表し、売り込みの糸口を作っていただきたいと思います。


連載・1  あなたの作品は5つの権利で守られる
連載・2  知的財産権って何?
連載・3  特許という知的財産権「雪見だいふく」のはなし
連載・4  特許という知的財産権「洗濯機の糸くず取り具」のはなし
連載・5  実用新案という知的財産権「ドーナツ形の枕」のはなし
連載・6  意匠という知的財産権「ハート形のバケツ」のはなし
連載・7  商標という知的財産権「タフマン」はなし
連載・8  著作権という知的財産権「オセロゲーム」はなし
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連載・10  知的財産権を取ろう
連載・11  発明コンクールに応募しよう
連載・12  先願主義だからといって、出願を急いではいけない