知的財産権入門講座
講 師 : 中 本 繁 実    テキスト : はじめて学ぶ知的所有権(工学図書刊)


連載 11
発明コンクールに応募しよう

 新しい作品を考えたら、発明コンクールに応募しましょう。
「商品化」や「契約金+ロイヤリティ(特許の実施料)2%、3%」が入る発明コンクールです。
 もう一ついいことがあります。それは、特許などの出願をしなくても応募できることです。
出願は、入賞した時点で案内するので、そのときにすればいいと思います。出願して応募したから、といっても、落選することは多いのです。そうすれば、何万円もの出願の費用が節約できます。
そのまえに、やってほしいことがあります。特許庁の「特許電子図書館」で先行技術をチェックすることが大切です。初心者のコーナーもありますので、初めてでも大丈夫です。
また、商品化が実現されていない作品なら、他の発明コンクールに応募したものでも結構です。
 もちろん、出願中でもOKです。
以前は、権利が取れていない作品は商品化を実現してくれませんでしたが、いまは出願中でも、売買ができてロイヤリティも払ってくれます。
 では、出願中に商品化が実現して、ロイヤリティをもらっていたとき、それが、もしも権利にならなかったら、お金は返金しなければならないのですか?
 良く質問されることですが、出願中のロイヤリティは、返さないのが慣例になっています。
 しかし、それが心配な人は契約書にそのことを書いておくのがいいでしょう。
 出願中の商品には「PAT.P(特許出願中という意味)」や「特許出願中」とカタログや商品のパッケージに表示されています。だから、今度商品を買うときに注意してみてください。したがって、このようにメリットがたくさんある「発明コンクール」を大いに利用していただきたいと思います。
 応募資格はとくにありません。
しかも、発明コンクールの審査をするのが、協賛会社(アイデアを募集している会社)の社長さんや開発担当者です。
 協賛会社では、商品化が実現できる作品を、熱心に探しています。みなさんの作品の商品化を実現してくれるのです。
 この発明コンクールは、一度に、多くの会社の社長さんや開発担当者が応募した作品をみてくれます。
だから、結論が出るのも早いです。いままでのように、1人で苦労して、数10社に売り込まなくても、水準以上の作品なら商品化を実現してくれる可能性は大です。
 私も、1つでも多くの作品が商品化が実現できるように協力したいと思っています。


連載・1  あなたの作品は5つの権利で守られる
連載・2  知的財産権って何?
連載・3  特許という知的財産権「雪見だいふく」のはなし
連載・4  特許という知的財産権「洗濯機の糸くず取り具」のはなし
連載・5  実用新案という知的財産権「ドーナツ形の枕」のはなし
連載・6  意匠という知的財産権「ハート形のバケツ」のはなし
連載・7  商標という知的財産権「タフマン」はなし
連載・8  著作権という知的財産権「オセロゲーム」はなし
連載・9  発明学校に参加しよう
連載・10  知的財産権を取ろう
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連載・12  先願主義だからといって、出願を急いではいけない